NSU現代民家型構法
3・11 東日本大震災とその後の福島原発事故 以降 私たちの暮らし方や 住まいのあり方の価値感に 変化が生まれています。
今 住まいに求められているのは まず安全で安心できること 住みやすく居心地がよい居住性。
そしておだやかな暮らしが持続できる 環境性と経済性です。

日本は もともと自然の驚異や恵みとうまくつき合いながら、
おだやかで「エコロジカルな暮らし」をしてきました。
住まいも同じでした。
近くの山の木・地元の木を使ってしっかりした骨組みをつくり
身近にある自然な素材を使いシンプルで
身の丈にあった暮らしで 住み続けることができる
「民家」をつくってきました。
- 丈夫で長持ちする木組みの構造体でつくる。
- 資源と資産を有効に使うためにも2~3世代(60~90年)は
住み継ぐことができるしっかりした骨組みでつくる。
- 資源と資産を有効に使うためにも2~3世代(60~90年)は
- 暮らしの変化に柔軟に対応できるつくりかたで。
- 小さな部屋をいくつも並べる間取りではなく
少し広めの開放的なフロアーで
暮らしに合わせて仕切っていける
フレキシブルな「間」のつくりかた。
- 小さな部屋をいくつも並べる間取りではなく
- 「森」と「まち」をむすんだ家づくりで。
- 地元の木・地域材を使うことで 日本の森林再生と
地域型の家づくりに貢献していく。
これからの家づくりで考慮したいことがあります。
- 地元の木・地域材を使うことで 日本の森林再生と
これらに応えるために 着目したのは 日本の伝統的な民家のつくり方です。
- 「地域の気候や風土を生かした住まいの形」
- 「秩序ある構造」
- 「構造架構と整合性を持つ間取り」
- 「暮らしの中にある室礼(しつらえ)の知恵」
- 「里山などからの身近な材料による建築」
これらの伝統的な民家に根付いていた知恵に学び
地域材(産地認証材)を使った 「地域型住宅」として
「二間半角にユニット」化されたスケルトン(主要構造体)で 現代版の民家構法を考案しました。
これを「二間半角スケルトンユニットシステム(NSUシステム)」と名づけました。

- 「渡りあご・交叉梁組」という伝統的な木の組み方で 梁を架けて
二間半角(4.5m×4.5m)内に柱がない空間をつくる構造体(スケルトン)
を 建物の骨組みとして 組立てできるまでに
柱や梁材が 刻み加工された構造単位(ユニット)として
秩序ある架構体をつくっていくシステムです。
- 右図を見てください
二間半角の架構でつくられたスケルトンユニットを
‘メインユニット’として建物の架構体(骨組み)のベースとします。
- これに‘サブユニット’として
- 二間半角×二間 (4.5m×3.6m)
- 二間半角×一間半(4.5m×2.7m)
- 二間半角×一間 (4.5m×1.8m) 他
の組み合わせにより建物の構造体を構成していきます。
- メインユニットを 幾つか組み合わせたり重ねて2階建てにしたり
メインユニットとサブユニットを組み合わせて住宅・建物の規模(広さ)
を自由にできます。
- ユニット単位で耐震壁を外周部に配置する方法のため
ユニット内部の壁は 耐震性に影響のない
間仕切壁にできるため 可変性のある 室内空間をつくります。
これは日本民家の「母屋」と「下屋」の関係に似ています。
ユニット構成プランニングのためのツール

ユニット構成によるプランニングが簡単にでき
住宅規模をイメージしやすいようにした
「プランニング積み木ツール」も用意しています。
なぜ「二間半角」なのか
- 「NSUシステム」はメインユニットの大きさを「二間半角」にしています。

従来の間取りは 8帖(二間角=3.6m×3.6m)の部屋のように
最大で“二間(長さ3.6m)”間口の部屋をつくるプランが一般的です。
これは「梁」(床や屋根を支えている骨組み材)に使われる木材(丸太)が 森林から切り出され運搬されるときに “4m”の長さに切られるためです。
長さ“4m”の木材からつくれる「梁」で家をつくりには
それより短い長さの“二間”の間口にするしかないのです。
- これを「NSUシステム」は 間口を半間(長さ90㎝)長くして
二間半(長さ4.5m)にできるように 森林からの切り出し長さを 山側の木材供給している方々の協力で “5m”にすることができました。
右の図を見てください。
一辺が90cm長くなると 面積は 8帖から12. 5帖となり その広がりは 約1.6倍となります。
12. 5帖の部屋の中には柱がなく おおらかなフロアーで
暮らしに合わせた 使い方や仕切り方が
できる住まいになるのです。

- この“二間半角・12. 5帖”の広さは
愛知の奥三河山間部と
県境の静岡や長野(三州・遠州・南信地方)
に多く見られた 古民家の調査から学びました。
なぜ「スケトンユニット」システムなのか
- ユニット構造体のため 自由に間取りをしても構造の安全性や秩序が確保できます。
従来から構造材は バラバラで取り扱われ 住宅のプランごとに構造材の組み方を変えています。
そのため間取りを優先しすぎると 構造体の組み方が不安定になり耐震性などの“家の強さ”が低下することもあります。
- これを ユニット構造体にすることで 構造体を「事前の規定化(標準化)」することができ 自由にプランをしても
伝統的な民家のように構造体の安全性や秩序が確保できます。
これは 構造強度を事前に計算でき 構造の安全性を確認できるためです。
- 立体面材架構形式
ユニット構造体とするために 耐震上必要な壁面位置を事前規定することができます。
耐震構成要素は 従来の「すじかい」は使わず 建物外周面の窓部分を除き すべてを一定の耐震強度を持った
面材(板材)又は 貫と土壁で構成し 剛性をもつ床面と合わせて“立体構造”の建物としています。
これは 壁の耐震性を必要な箇所しか設けない「すじかい」のみに頼ると、大地震時に 「すじかい」が折れたり 外れたりした場合に 建物全体の耐震性が不安定になることも考えられるため 「すじかい」に頼らない 耐震構成としました。
- 構造体がユニット単位のために 将来の増築や減築が容易に行え「育てる家」「変化する家」にすることができます。
- ユニットの組み方は伝統的な大工技術で標準化されていますので
住まい手も“我が家”のつくり方(構造方式)が理解しやすくメンテナンスに有利です。
- 構造部材を規格化・標準化することで 山側の林産業とまち側の家づくりと連携ができて
計画的に地域材の供給が可能となり そのことで 木材価格の安定がはかれます。
現代民家型構法とは
「二間半角スケルトンユニットシステム(NSUシステム)」をベースにして

- 通気・断熱屋根
- 化粧踏み天井
- 杉厚板床
- 透湿性のある耐震壁
で建物の骨格を構成したものです。
現代民家型構法の仕様
- 構造部材
- あいちの産地認証材を使用
- 梁材は室内に表し仕様
(機械プレナー仕上げ) - 乾燥は自然(天然)乾燥を基本とし
中温乾燥も選択可能 - 柱 杉並材 4寸角
- 梁 杉並材 NSUシステムとして
標準化されたサイズを使用(4寸巾)
- 架構方式
- 梁勝ち・管柱軸組
(通柱は使いません) - 渡りあご仕口・交叉梁方式
(せがいづくりが可能) - 杉厚板による床構面形成
- 壁構面は透湿性面材を選定
(貫構法などの伝統構法も可能)
- 梁勝ち・管柱軸組
- 木材刻み加工方法(選択可能)
- 大工刻み
- プレカット
- NSUシステムは木材(構造材)を刻み加工済みのユニット
として構成していますが
工務店が NSUシステム を自社ブランドとして
採用される場合は 自社による刻み加工も可能です。
加工方法はアドバイスいたします。