森からはじまる家づくり物語
木造住宅の骨組みを形づくる構造用木材は家づくりでもっとも重要な構成要素です。
だが 現在は使われる構造用木材を 住まい手が事前に知ることができない
“あてがわれ木材”による家づくりがほとんどです。
こんな家づくりの方法を変えたい。

そんな想いで 木肌が美しい「三河杉」を産出している
愛知県奥三河の山側の木材生産者と共同して
住まい手が あいち地域認証材(産地が証明されている木材)の
構造用木材を山側から直接購入するシステムをつくりました。
これを「あいちの地域型住宅」として家づくりをする
「森からはじまる家づくり物語」と名づけました。
この「物語」は
- 家の骨組みを「NSUシステム」として 木組みユニット構造体に標準化ししたこと。
- 木組みユニット構造体の組合わせを「ブロックプラン」でプランニングすることで
必要な木材の使用量を早い段階で算定できる設計手法にしたこと。
で可能にしました。
住まい手(ユーザー)は 家づくりのプロセスで 間取りやデザイン・設備機器は関心があり
検討したり 選択したりします。
ところが、住宅のもっとも重要な骨組みのつくり方(構造)や構造材料になりますと
知識もないこともあり「あなた任せ」になっています。

これで本当に良いですか・・・
本来は住まい手 が決めるべきこと 少なくても知っているべきこととして
- 構造用木材はムク材か積層材かの選択
- 国産木材か輸入木材かの選択
- 国産材の場合でもどこの産地かの確認
- 木材の流通経路
などが あるのです。
これらは、現在の家づくりでは建設会社や工務店・大工さんなど 住宅のつくり手側の
- 木材仕入れの取引先
- 木材を骨組み用に加工するプレカット工場先
の事情で決まることがほとんどです。
住まい手は、骨組みが組み上がって家の形がわかる‘建方の日’に初めて 我が家に使われる木材と ご対面する。
これが現在の多くの家づくりの現状です。
現在の家づくりの方法をかえるために
- 住まい手(ユーザー)が我が家で使う構造材を自分で決められないか!
- 素性のわかる木材を使えないのか!
- 住まい手が直接構造材を購入することはできないのか!と思い立ち
「地域材を使った森とまちをつなぐ家づくり」に踏み込みました。
そして あいち・三河の山側の木材生産者と共同して 独自の“地域認証材購入システム”をつくりました。
それは まち側・住まい手の「家ものがたり」と 山側・生産者(木材供給者)の「森ものがたり」とが
顔がみえるかたちでつながった「森からはじまる家づくり物語」です。
地域認証材購入システムの特徴
- 住まい手が自らの意志で構造用木材の購入を決定できます。
- 地元の木・地域認証材を使った家づくりができます。
- 地元の木を使う家づくりとすることで、日本の森の再生に貢献できます。
- 住まい手が木材購入するため 建設会社・工務店がどこになっても
使われる構造用木材は変わりません。
- 木材の「トレーサビリティー(流通履歴)」が確認できます。
- 家づくりの工事が始まるまでの期間を利用して、山側で「自然乾燥」を行えるため
木材を乾燥させるためのエネルギー消費が少なくできます。
森からはじまる家づくり物語のシステム 利用の流れ
- 「木造スケルトン」による新しい設計手法で基本設計がほぼ固まり
使用するユニット量がつかめた段階で
森側の木材供給者に 建築主が構造用木材を“仮発注”する。
↓ - 仮発注時に 木材購入費用の一部を
「森のものがたり購入費」として木材供給者に支払う。
現在 あいち・三河の森から産出される“あいちの木”を扱っている
木材供給先と提携して木材購入システムを組んでいます。
↓ - この段階で山側のタイミングを見ながら
産地の見学、伐採された丸太や製材工程などの見学ができます。
↓ - 森側の木材供給者は購入された構造用木材で
「NSU構法」として‘ユニット刻み加工’まで行います。
↓ - NSU構法を組上げる「建て方」時に、建築主が選定した施工者に
ユニット刻み加工された構造用木材が引き渡たされます。
↓ - 「森のものがたり購入費」の残額は施工者を通して
工事契約された建築工事費用の中から木材供給者に支払われます。
山の見学会への参加
提携している木材供給者が春と秋に行う「山の見学会」にタイミングが合えば参加できます。